「毛沢東論10講 毛沢東と現代中国:真理は天から降ってくる毛沢東的世界の探求」(中兼和津次講師、対面講座・全10回)開講
東洋文庫アカデミアでは、現在下記講座の申し込みを受け付けています。
全回受講は、5月24日(金)17時締切です。お早めにお申し込みください。
○講座名:毛沢東論10講 毛沢東と現代中国:真理は天から降ってくる毛沢東的世界の探求
○講師:中兼 和津次(なかがね かつじ)
東京大学名誉教授・東洋文庫研究員
○日程:
2024年5月25日、6月29日、7月27日、9月28日、10月26日、11月30日、12月21日、1月25日、2月22日、3月29日(毎月最終土曜日[8月を除く])
各回10:00-11:30
※1回のみでの受講も可能です(各回前日17時締切)。詳細は申込ページまで。
○場所:公益財団法人東洋文庫 附属棟会議室(オリエントカフェ2階)
○講座詳細・申込ページ:
https://toyo-bunko-academia-20240525.peatix.com/
【講座概要】
昨年2023年は毛沢東生誕130周年に当たりました。1978年の鄧小平による改革開放後、中国は劇的に様変わりし、一見すると「脱毛沢東化」したような印象を受けます。しかし、近代中国史における巨人である毛沢東の遺産は現代中国に受け継がれ、今なお毛沢東は中国に「生き続けて」います。そこで、彼がどのような思想と哲学の下で、どのような政策を展開し、いかなる結果をもたらしたのか、そして彼が引き起こした大躍進や文化大革命といった政策がすさまじい犠牲を伴ったにもかかわらず、彼と共産党体制が揺るがなかったのはなぜか、大胆に整理し、仮説を立て、評価を下して見る、これが本講座の主な目的です。
【講師から受講者へのメッセージ】
この講座では、やや、あるいはかなり批判的に毛沢東を論じます。毛沢東についてはいろいろな見方・解釈があると思います。彼を称賛・賛美する人もいるでしょう。ただ、歴史解釈は多様であって当然で、多様な解釈のぶつけ合いの中から、学問は進歩していくものと私は考えます。それこそ、「真理は天から降ってはならない」ことをこの講座の基本的立脚点とします。
第1回:毛沢東の哲学と思想(5月25日:
有名な2大哲学論文「矛盾論」と「実践論」を分析し、そこに含まれる「落とし穴」について考えていきます。
第2回:毛沢東と魯迅(6月29日)
毛沢東が仮に建国後魯迅に会っていたら、という仮想をテーマに、毛沢東の知識人に対する見方を考えていきます。
第3回:階級闘争と大衆路線(7月27日)
毛沢東は死ぬまで階級闘争に拘っていました。また「大衆路線」を強調したのが毛沢東ですが、彼にとって階級とは何か、大衆とはどういう意味なのか、そのことを通して彼のマルクス主義理解に迫ります。
第4回:反右派闘争の展開と結末(9月28日)
建国後の中國現代史における転換点となった1957年の反右派闘争の展開とその結末を振り返り、そこに凝縮された毛沢東の思想と行動の特徴を探ります。
第5回:大躍進と大飢餓(10月26日)
毛沢東のユートピア思想に煽られて、全国が土法高炉による鉄つくり運動と、無料と食事ができる公共食堂を備えた人民公社に熱狂した結果、3千万人ともいわれる膨大な餓死者を生み出す悲惨な結果がもたらされました。そのメカニズムについて分析します。
第6回:彭徳懐の悲劇(11月30日)
そうした無謀な大躍進・人民公社化運動の修正を求めた国防相彭徳懐が毛沢東に意見した結果、毛沢東は激怒し、彭徳懐とその同調者は失脚し、彼自身文化大革命において命を落とすことになりました。
第7回:毛沢東の政治経済学(12月21日)
このような無理な政策の基礎にあったのが毛沢東の経済思想、とくに「矛盾の経済学」でした。彼の政治経済学を鄧小平の経済学と対比して論じます。
第8回:文化大革命と毛沢東(1月25日)
大躍進と並んで革命後の2大悲劇である文化大革命の発生と展開、そのメカニズムを追い、毛沢東の求めた「継続革命」の悲劇の本質を考えていきます。
第9回:毛沢東と周恩来(2月22日)
毛沢東と周恩来が、革命と建国後にどのような関係を持ち、皇帝である毛沢東に臣下である周恩来が屈従していった歴史を探ります。
第10回:毛沢東をどう評価すべきか(3月29日)
これまでの考察に基づき、毛沢東をカリスマ的教祖として描き、毛沢東が現代に遺した遺産、とくに政治・社会の統治原理について分析する。補論として、マルクスからレーニン、レーニンからスターリン、そして毛沢東に至る「マルクス教」の系譜を振り返ります。