インド研究班

ホイサラ朝バッラーラ2世のベールール銅板文書(カンナダ、一部サンスクリットのverseを含む) 1185年頃

研究テーマ

インド古代~近世における文書資料の研究

研究概要

近年のアジア地域研究は、新たな資料の発掘とともにその検討の枠組みの精緻化において著しい進展を見せている。その一方で、地域や分野を横断した研究による比較と検証の重要性がより強く認識されるようになってもいる。

インド研究班でも上の動向に対応しつつ、それぞれの専門分野の資料のデータベース化をはかりながら、研究員相互でその成果を議論する機会を、オンラインのリモート・ミテーィングを含めより多く確保することに努める。

中世から近世の歴史研究においては、ラージャスターン地方を中心としたラージプート諸王権のサンスクリットおよび地方語の碑文や銅板文書の史料を分析し、その歴史的特質の解明に取り組む。ムガル朝については近年の研究により明らかにされた膨大な数の政府文書(ペルシャ語)の史料目録の作成に関する研究課題を継続して進めていく。

古代から中世の文献研究においては、従来のサンスクリット文献および刻文史料の収集に加えて、南インドのドラヴィダ系言語であるカンナダ語文献やプラークリット文献の収集もはかり、その目録作成に努める。それぞれの言語資料の対象には、歴史資料ばかりでなく文学資料も含める。

また、インド洋交易圏の研究の観点から、インドと西アジア世界や東アジア・東南アジア世界との交流の歴史の資料収集と分析に取り組みそのデータベース化を検討する。

随時研究会を開催して研究員間の議論を促進し、若手研究者の育成をはかるものとする。

上記研究の成果については、積極的に公表する。

研究班メンバー

研究成果・お知らせ

TBRL25書影

成果論文集を刊行しました

近年の成果である論集Aspects of the Literary Sources in South Asian Historical Studies (TBRL25)は、インド研究班の数次にわたる研究会での議論をもとに編まれたものである。論考が扱う時代や地域はさまざまであり、依拠する資料の言語もサンスクリット、プラークリット、ラージャスターニー、カンナダ、アラビア、ペルシアと多岐にわたっている。しかし資料の性格に焦点を当ててそこから浮かび上がる歴史的社会・文化の特質を考察する点では共通する問題意識にもとづくものである。読者は、執筆者が扱う言語は多様でありながらも、皆資料に密着して論を掘り下げている点では共通していることを理解されるであろう。

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