前近代中国研究班

『中国近世法制史料読解ハンドブック』表紙

研究テーマ

中国近世の法と社会の構造解明

研究概要

本班の研究は、歴史研究を中心とする広い意味での中国法制史研究を行い、法とその背後にある社会を通時的に考察することで、中国の伝統社会に対する理解を深めることに目的がある。

本班では上記の研究テーマの下、過去20年間の活動を通して多くの成果を生んできた。その一つは、メンバー各自が共通の問題意識により専門分野に応じて取り組んだ共同研究であり、それらは大島立子編『宋―清代の法と地域社会』(財団法人東洋文庫、2006年)と山本英史編『中国近世の規範と秩序』(公益財団法人東洋文庫、2014年)の2冊の論文集に結実している。また、もう一つは、現在あるいは将来において中国法制史研究を志す若手研究者・学生に向けた手引書・入門書の作成であり、それにはすでに大島立子編『前近代中国の法と社会 成果と課題』(財団法人東洋文庫、2009年)があり、また2019年には山本英史編『中国近世法制史料読解ハンドブック』(公益財団法人東洋文庫、2019年)を新たに刊行し、東洋文庫レポジトリにも掲載して一般の閲覧に供している。加えて2020-23年度の研究計画を実行すべく、本年度内に『演習 中国近世の法と社会』の刊行、ならびに東洋文庫レポジトリによる一般公開を予定している。

こうした研究活動を東洋文庫の特定奨励費補助金を用いて行う意義はおよそ以下の三点にある。

  •  1.上記の研究意義を熟知した班の固定的メンバーによってはじめて長期的な視野に立つ共同研究の継続が可能であり、またその間に定期的に研究成果を公刊して、外部評価を受けることができること。
  •  2.メンバーが中国法制史関係の史料を豊富に所蔵する東洋文庫の書籍を自由に活用できること。
  •  3.中国法制史関係の手引書や入門書を定期的に刊行することにより、若手研究者の養成やインターカレッジ的な学生指導が可能となり、これによって学界全体の水準引き上げに貢献できること。

今期の研究計画では引き続き「中国の法と社会」についての理解の普及と若手研究者の育成を目的とした活動を積極的に進め、上記の班活動の意義を拡大させていくことを目標とする。

研究班メンバー