現代イスラーム研究班

長年ペルシャ語書籍資料の収集でお世話になっているテヘランの書肆ホシュヤールのご主人ラヒーム・デフガーン氏と。2023年2月4日撮影。

研究テーマ

現代中東・中央アジアの政治史・社会史とデジタル資料

研究概要

 現代イスラーム研究班では従来から中東・北アフリカ地域における立憲主義および立憲体制の資料調査および文献研究に取り組んできました。現在はこれをさらに継承・発展させ、法制史を含む政治史および社会史、さらに家族史の分野にまで関心領域を拡大して研究活動を行っているところです。研究対象地域としてはアラブ地域・トルコ地域・イラン地域および中央アジア地域の各地域とし、現地における研究動向および社会の実態に即応しつつ調査研究を行っています。

[活動領域]

(1)基礎資料研究と研究環境多様化への対応

 従来取り組んできたオスマン帝国憲法(1878年)、トルコ国憲法(1921年)、トルコ共和国憲法(1924年)、エジプトの1882年基本法および1923年憲法、イランの1906年憲法、1907年憲法補則およびイラン・イスラーム共和国憲法(1979年)、チュニジア憲法(1861年)、中央アジア諸国の憲法、その他歴史的に重要な意味をもつ憲法や法令の厳密な翻訳と注釈を、解題を付してデータベース化・ウェブ公開する作業を継続しています。これに加えてデジタル化された文字資料、映画や動画などの映像資料(音声資料を含む)などのデジタルデータの収集と活用を進め、政治史・社会史から家族史にまで研究関心を拡げる事により新たな研究環境の多様化への積極的な対応を目指しているところです。またこれまで日本中東学会と連携して運営してきた「日本における中東・イスラーム研究文献目録データベース1868-」についても随時アップデートを行います。

(2)統合的な研究データベースの構築

 現代イスラーム研究班として国際的なデータベース規格化の方向を常に意識しつつ、文字資料のデータベース化に留まらず映像資料および音声資料のデジタル化と長期的保存の環境整備に資するよう努めているところです。

(3)資料研究成果の発信

 上記の基礎資料研究を含む資料研究成果を英文の論集として纏めて出版・公開すると共に、随時海外の研究者を招いて国際シンポジウム・講演会を行い、その結果を東洋文庫リポジトリなどでの研究成果公開に反映させます。

(4)若手研究者の育成

 毎年の海外出張では研究班と直接・間接に関係する若手研究者を優先的に現地に派遣し、また東洋文庫が2022年に創設した槇原奨励金やHarvard-Yenching Instituteの各種プログラムにも積極的に応募するよう促していきます。