2024.03.27

No.1. 2024.4.1 「東洋文庫の研究とは?」

「東洋文庫の研究とは?」

  1. 東洋文庫における研究の基本は、民間の研究図書館という東洋文庫の特徴を、研究という分野から引き出し活用することを目的としている。そこでの重点は、研究に不可欠の4要素である文献・資料研究、現地研究、成果公表と研究交流、デジタル化と保存・公開の過程を通して、グローバルな視野から、アジアの各地域の歴史的な特徴を把握し、それに基づいて今後の検討課題を導き出し、個人ならびに共同研究を行うことに置かれる。
  2. そのためには内外の研究交流・資料交流を進め、個別課題に閉じこもらない開かれた研究人材ならびに次世代を育成する場として、様々な若手育成の取り組みを進めたいと考える。そのような目的と課題を考えるとき、東洋文庫における研究は、大学・研究機関における学科を基本とした研究・教育とは異なる特徴があることを見ておきたい。
  3. まず、東洋文庫の研究は、ミュージアムを通して公開と展示を行う普及展示部の活動と密接につながって進めることを目指している。同時に研究活動は、広く市民からのまた多世代に跨ったアジアへの関心を受け止め、市民に働きかける役割を持っている。そして、図書部の資料研究と協力して、アジア資料の収集・整理・保存・修復・デジタル化・公開を進める役割を担っている。
  4. 総じて、東洋文庫における研究の基本は、文庫が収蔵する資料ならびに関連資料研究を基本とし、変化する現代社会を現場からまた歴史的に検討するための研究課題を適宜設定し、多分野の相互協力に基づいたグローバルな視野からの取り組み、広く市民との交流をおこなう新たな「民間学」の取り組みを目指すものであると言えよう。

次回は「<モリソンコレクション>への挑戦」です。