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東洋文庫100周年記念連続講演会(第10回)
雲崗石窟をアジア文明の結晶物と評価した男——木下杢太郎『大同石佛寺』に関する考察——

2026/02/26

15:00–16:30

日時 2026/02/26 15:00–16:30
タイトル 『東洋文庫100周年記念連続講演会(第10回)
雲崗石窟をアジア文明の結晶物と評価した男——木下杢太郎『大同石佛寺』に関する考察——』
講師 周閲(北京語言大学教授)
参加費 無料
会場 東洋文庫2階講演室(オンライン併催)
司会 陶徳民(東洋文庫研究員)
言語 日本語
講演要旨 本講演は、木下杢太郎の著作『大同石佛寺』を中心に、近代日本における中国仏教美術認識の展開を検討し、雲崗石窟がいかにして「アジア文明の結晶物」として把握されたのかを明らかにするものである。まず、岡倉天心による中国美術論を起点とし、その思想的転換と歴史的背景を整理したうえで、木下がいかなる問題意識を継承し、また変容させたのかを論じる。次に、木下による雲崗石窟の実地調査と、その成果である『大同石佛寺』の特質を、文字記述・写真・スケッチ・拓本を統合した網羅的記録という観点から分析する。さらに、伊東忠太以降の日本人研究や、西洋・中国の先行研究との比較を通じて、木下の位置づけを明確にする。加えて、20世紀初頭における世界考古学の重心移動と日本の国策との関係を踏まえつつ、木下が雲崗芸術をインド起源の仏教美術の単なる模倣ではなく、「支那化」(中国化)された独特の芸術として評価した点に注目する。最後に、木下の調査と沈黙の背景にある時代認識と内的葛藤を考察し、『大同石佛寺』を近代日中関係の一面を反映した自己省察的テクストとして再評価する。
講師紹介 周閲(しゅう・えつ)、1967年北京生まれ、北京大学文学博士。北京語言大学教授、『漢学研究』副編集長、中国日本文学研究会副会長兼事務局長を務めている。現在、国際交流基金フェローとして国際日本文化研究センターを訪問滞在中。
 主な研究分野は東アジア文学・文化関係、日本における中国学(中国研究)。主な単著に『川端康成文学の文化学的研究』『比較文学の視野における中日文化交流』など計5冊。『中国二十世紀文学研究論著提要』『中日文化交流事典』などの編纂を分担、『伊豆の踊子』『蒲団』『デッドエンドの思い出』『眠れる美女』などを翻訳、中国および日本で『比較文学実用教程』などの教科書6冊を共著。
 学術論文は100篇以上を発表。本講演と密接に関係するものとして、「岡倉天心の中国踏査と西洋へ流出した中国美術品――龍門石窟を中心に」「内藤湖南の中国美術研究」「内藤湖南と満蒙文史」「岡倉天心の中国行と中国認識」「青木正児と塩谷温の中国戯曲研究」「塩谷温の元曲研究」「中国近代美術制度の形成過程における日本の要素」(以上は中国語にて書かれた論文)、「青木正児の中国遊学と中国研究」などがある。