海渡る石たち。

こんにちは、散歩が趣味のMAはるまきです。
相変わらず台風の襲来はあるものの、ようやく秋らしい気候になってきましたね。
秋といえば、芸術の秋!
というわけで今日は、話題の展覧会で出会った海をはるばる渡った石のお話です。

先日、東京国立博物館で開催中の『正倉院の世界展』を見てきました。
即位記念ということで、奈良国立博物館で毎年開催されている正倉院展から目玉だけを引っ張ってきたかのような豪華さ!
かの有名な螺鈿紫檀五弦琵琶も、現代の復元品とともに展示されていました。※前期のみ
正倉院展といえば、一生に一度は行ってみたい憧れの展示!(ですよね?)
奈良まで行く財力のないはるまきにとってはありがたいことこの上ない企画です。

当時の奈良がシルクロードの終着点に例えられ、天平文化が極めて国際色豊かなものであったことはみなさんもご存知かと思います。
平螺鈿背円鏡という、中国(唐)で作成された鏡が展示されていました。
背面には琥珀や夜光貝が美しく象嵌されているのですが、それを引き立てているのは、背景に散らされた小さな小さな瑠璃(ラピスラズリ)の粒。
ラピスラズリはほぼ現在のアフガニスタン周辺でしか採れず、この鏡に使われたのもはまさにはるばる海を渡ってたどり着いたことになります。
知ってはいても、やはり実物をみると感慨深いものです!

さて、遥か海を渡ってやって来た石が東洋文庫にもあるのをご存知でしょうか。
受付脇の、緑色の石でできた壁にお気付きですか?
この石、実はパキスタン・ハイデラバード近郊で採れたものを運んできたのです。

ハイデラバード近郊はグリーンオニキスという大理石の名産地として知られ、淡いグリーンの地に渋い褐色の縞が入った美しい肌は、世界中で愛されています。
アンケート記入コーナーではこちらの石にお触りいただけます。
ひんやりとした石の質感と奥ゆかしい美を、ぜひお確かめください!
(そして是非アンケートにもご協力ください。)

ちなみに、ハイデラバードに近いインド・グジャラート州も瑪瑙の原産地として非常に著名です。
ここで採れるカーネリアン(瑪瑙のうち、紅くて縞のないものをこのように呼びます)を細長く加工したビーズはインダス文明で大変好まれ、ビーズはアフリカ大陸まで輸出されました。
(インダス文明の瑪瑙製首飾りは、池袋の古代オリエント博物館で見られます。)

これらの地域は美しい石の原産地であると同時に、西アジアへの玄関口としても栄えてきた重要な土地でもあります。
みなさまを東洋の旅にお連れする玄関口、東洋文庫ミュージアムの入り口を飾るのにピッタリではありませんか?

石を通して、遥か遠くの土地に思いを馳せてみました。
海をはるばる渡ってきたグリーンオニキスさんに、是非会いに来て下さいね!

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