北京の思い出。

こんにちは、散歩が趣味のMAはるまきです。
待ちに待った三連休!みなさまどのような予定でお過ごしでしょうか?
まだお決まりでない方は是非、東洋文庫へ...。

さて、当館では現在『漢字展』を開催中です。
第一展示室(モリソン書庫の次の部屋)では、所蔵品の内から特別展に合わせて色々な展示しています。
今日ご紹介したいのは、そのなかの《円明園》。
(大人気《トバエ》の上の壁に展示されています。)

繊細な銅版画技法で、中国北京の大庭園「円明園」の在りし日の姿が描かれています。
「円明園」はかの有名な乾隆帝が、宣教師カスティリオーネらに作らせた清朝の巨大西洋風庭園です。
西洋生まれの宣教師が指揮を執っただけあって、さすが超本格的!
…と言いたいところですが、この作品に描かれた庭園はどこはちょっとヘン?

というのも、この銅版画を作成したのは西洋画法を覚えたてほやほやの中国人画家。
遠近法の技法や銅版画の技法こそヨーロッパ風ですが、建築にあしらわれたモチーフは彼らが馴染んだ中国風に描かれています。
ずらりと並んだ彫刻も、よく見れば十二支がモチーフになっています。
画面いっぱいにちりばめられた愛すべき奇怪なモチーフたち。
その姿から、手がけた中国人画家の苦労が手に取るように伝わってきますね…。

わたくし、実は一度だけ短期留学で北京に滞在したことがあり、その際に円明園を訪問しました。
そこで見たのは、一面に広がる蓮池。
それはそれで大変美しいのですが、あれ、西洋風じゃなかったのかな...?

乾隆帝が造営したみごとな庭園は、第二次アヘン戦争でことごとく灰燼に帰しました。
美しかったであろう大理石の彫刻群は徹底的な破壊を受け、見る影もありません。
その痕跡は、現在の円明園の片隅に、ひっそりと残されているのみです。

かつて築かれた東西文化交流の象徴は、東西文化(国家)の激突によって破壊されました。
その痕跡から、我々は何を感じ、何を生み出すことができるのでしょうか。
人々がこの庭園の訪問を通じて、ふたたび新しい東西文化交流の礎がき築かれることを願うばかりです。

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