日本最古級の漢字に会いに行こう。

こんにちは、散歩が趣味のMAはるまきです。
漢字展がいよいよ開幕!ということで、今日は日本最古級の文字資料についてご紹介します。
(なお、これまで触れずに来ましたが、はるまきの専門は考古学です。オラ、わくわくすっぞ!)
日本列島における「意味を持った文章」という意味での文字資料の登場は、古墳時代にまでさかのぼります。
有名なものとして、稲荷山古墳出土鉄剣と、江田船山古墳出土鉄刀を紹介しましょう。

稲荷山古墳出土鉄剣は、金象嵌された115文字の銘文を持っています。
この鉄剣を一躍有名にしたのは、銘文に含まれる辛亥(十干十二支で年を表したもの)という記述でした。
辛亥年は471年説と531年説がありますが、今日では前者が定説となっています。
5世紀後半の日本列島社会を知るための、超一級資料と言えるでしょう!
こちらは埼玉県行田市の埼玉県立さきたま史跡の博物館で見ることができます。
(ミュージアムショップでは鉄剣をモチーフにした鉛筆が売っています。はるまきのイチオシです!)
江田船山古墳出土鉄刀は、古墳の年代から5世紀末~6世紀初頭の資料と考えられます。
先に紹介した鉄剣の銘文が剣の裏表に刻まれているのに対して、こちらの鉄刀はいわゆる峰の部分に75文字の銀象嵌銘文を持っています。
驚くべき、古墳時代の超・超・超絶技巧…!
こちらは何と、東洋文庫から徒歩圏内、上野の東京国立博物館で常時展示中。
プロジェクターを使ったとってもお洒落な展示空間になっています。
これは当館の展示を見たついでに行くしかありませんね!!

さて、この2つの資料にはある共通点があります。
それは、銘文にワカタケル(本当は難しい漢字で書きますが、ここでは片仮名で)という人物が登場することです。
この人物は、『日本書紀』の内容と照らし合わせ、雄略天皇に比定されています。

江田船山古墳の鉄刀が発見された当時、この人物名は象嵌が欠けていたこともあり読みかたは分かっていませんでした。
しかしその後、はっきりとワカタケルと刻まれた稲荷山古墳の鉄剣が発見されると、それを参考に鉄刀の人物名も読めたのでした。

考古学的な資料は、その発見の大部分が発掘調査に拠っていることもあり、なかなか文字資料をピンポイントで引き当てることができません。
そう考えると、この2つの資料の発見は奇跡的とも言えるのではないでしょうか。

約1500年の時空を経て出会った文字たち。
是非、会いに行ってみて下さい。

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